吾輩は猫である 速打ち

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用語一覧(60件)

001

吾輩は猫である。名前はまだ無い。

わがはいはねこである。なまえはまだない。

どこでうまれたかとんと見当がつかぬ。

002

どこでうまれたかとんと見当がつかぬ。

どこでうまれたかとんとけんとうがつかぬ。

何でも薄暗いじめじめしたところで

003

何でも薄暗いじめじめしたところで

なんでもうすぐらいじめじめしたところで

ニャーニャー泣いていたことだけは記憶している。

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ニャーニャー泣いていたことだけは記憶している。

にゃーにゃーないていたことだけはきおくしている。

吾輩はここで初めて人間というものを見た。

005

吾輩はここで初めて人間というものを見た。

わがはいはここではじめてにんげんというものをみた。

しかも後で聞くとそれは書生という

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しかも後で聞くとそれは書生という

しかもあとできくとそれはしょせいという

人間中で一番獰悪な種族であったそうだ。

007

人間中で一番獰悪な種族であったそうだ。

にんげんちゅうでいちばんどうあくなしゅぞくであったそうだ。

この書生というのは時々我々を

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この書生というのは時々我々を

このしょせいというのはときどきわれわれを

捕まえて煮て食うという話である。

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捕まえて煮て食うという話である。

つかまえてにてくうというはなしである。

しかしその当時はなんという考えもなかったから

010

しかしその当時はなんという考えもなかったから

しかしそのとうじはなんというかんがえもなかったから

別段恐ろしいとも思わなかった。

011

別段恐ろしいとも思わなかった。

べつだんおそろしいともおもわなかった。

ただ彼の掌に載せられてスーと持ち上げれられたとき

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ただ彼の掌に載せられてスーと持ち上げれられたとき

ただかれのてのひらにのせられてすーともちあげられたとき

何だかフワフワした感じがあったばかりである。

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何だかフワフワした感じがあったばかりである。

なんだかふわふわしたかんじがあったばかりである。

掌の上で少し落ちついて書生の顔を見たのが

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掌の上で少し落ちついて書生の顔を見たのが

てのひらのうえですこしおちついしょせいのかおをみたのが

いわゆる人間というものの見始めであろう。

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いわゆる人間というものの見始めであろう。

いわゆるにんげんというもののみはじめであろう。

この時妙なものだと思った感じが今でも残っている。

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この時妙なものだと思った感じが今でも残っている。

このときみょうなものだとおもったかんじがいまでものこっている。

第一毛をもって装飾されべきはずの顔が

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第一毛をもって装飾されべきはずの顔が

だいいちけをもってそうしょくとうれべきはずのかおが

つるつるしてまるで薬缶だ。

018

つるつるしてまるで薬缶だ。

つるつるしてまるでやかんだ。

その後猫にもだいぶ逢ったが

019

その後猫にもだいぶ逢ったが

そのごねこにもだいぶあったが

こんな片輪には一度も出会わした事がない。

020

こんな片輪には一度も出会わした事がない。

こんなかたわにはいちどもでくわしたことがない。

のみならず顔の真中があまりに突起している。

021

のみならず顔の真中があまりに突起している。

のみならずかおのまんなかがあまりにとっきしている。

うしてその穴の中から時々ぷうぷうと煙を吹く。

022

うしてその穴の中から時々ぷうぷうと煙を吹く。

そうしてそのあななかからときどきぷうぷうとけむりをふく。

どうも咽せぽくて実に弱った。

023

どうも咽せぽくて実に弱った。

どうもむせぽくてじつによわった。

これが人間の飲む煙草というものである事は

024

これが人間の飲む煙草というものである事は

これがにんげんののむたばこというものであることは

ようやくこの頃知った。

025

ようやくこの頃知った。

ようやくこのごろしった。

この書生の掌の裏でしばらくは

026

この書生の掌の裏でしばらくは

このしょせいのてのひらのうちでしばらくは

心持に坐っておったが、

027

心持に坐っておったが、

こころもちにすわっておったが、

しばらくすると非常な速力で運転し始めた。

028

しばらくすると非常な速力で運転し始めた。

しばらくするとひじょうなそくりょくでうんてんしはじめた。

書生が動くのか自分だけが動くのか分らないが

029

書生が動くのか自分だけが動くのか分らないが

しょせいがうごくのかじぶんだけがうごくのかわからないが

無暗に眼が廻る。

030

無暗に眼が廻る。

むやみにめがまわる。

胸が悪くなる。

031

胸が悪くなる。

むねがわるくなる。

到底助からないと思っていると、

032

到底助からないと思っていると、

とうていたすからないとおもっている。

どさりと音がして眼から火が出た。

033

どさりと音がして眼から火が出た。

どさりとおとがしてめからひがでた。

それまでは記憶しているがあとは何の事やら

034

それまでは記憶しているがあとは何の事やら

それまではきおくしているがあとうなんのことやら

いくら考え出そうとしても分らない。

035

いくら考え出そうとしても分らない。

いくらかんがえだそうとしてもわからない。

ふと気が付いて見ると書生はいない。

036

ふと気が付いて見ると書生はいない。

ふときがついてみるとしょせいはいない

たくさんおった兄弟が一疋も見えぬ。

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たくさんおった兄弟が一疋も見えぬ。

たくさんおったきょうだいがいっぴきもみえぬ。

肝心の母親さえ姿を隠してしまった。

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肝心の母親さえ姿を隠してしまった。

かんじんのははおやさえすがたをかくしてしまった。

その上今までの所とは違って無暗に明るい。

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その上今までの所とは違って無暗に明るい。

そのうえいままでのところとはちがってむやみにあかるい。

眼を明いていられぬくらいだ。

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眼を明いていられぬくらいだ。

めをあいていられぬくらいだ。

はてな何でも容子がおかしいと、

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はてな何でも容子がおかしいと、

はてなんでもようすがおかしいと、

のそのそ這い出して見ると非常に痛い。

042

のそのそ這い出して見ると非常に痛い。

のそのそはいだしてみるとひじょうにいたい。

吾輩は藁の上から

043

吾輩は藁の上から

わがはいはわらのうえから

急に笹原の中へ棄てられたのである。

044

急に笹原の中へ棄てられたのである。

きゅうにささはらのなかへすてられたのである。

ようやくの思いで笹原を這い出すと

045

ようやくの思いで笹原を這い出すと

ようやくのおもいでささはらをはいだすと

向うに大きな池がある。

046

向うに大きな池がある。

むこうにおおきないけがある。

吾輩は池の前に坐って

047

吾輩は池の前に坐って

わがはいはいけのまえにすわって

どうしたらよかろうと考えて見た。

048

どうしたらよかろうと考えて見た。

どうしたらよかろうとかんがえてみた。

別にこれという分別も出ない。

049

別にこれという分別も出ない。

べつにこれというふんべつもでない。

しばらくして泣いたら

050

しばらくして泣いたら

しばらくしてないたら

書生がまた迎に来てくれるかと考え付いた。

051

書生がまた迎に来てくれるかと考え付いた。

しょせいがまたむかえにしてくれるかとかんがえついた。

ニャー、ニャーと試みにやって見たが誰も来ない。

052

ニャー、ニャーと試みにやって見たが誰も来ない。

にゃー、にゃーとためしにやってみたがだれもこない。

そのうち池の上を

053

そのうち池の上を

そのうちいけのうえを

さらさらと風が渡って日が暮れかかる。

054

さらさらと風が渡って日が暮れかかる。

さらさらとかぜがわたってひがくれかかる。

腹が非常に減って来た。

055

腹が非常に減って来た。

はらがひじょうにへってきた。

泣きたくても声が出ない。

056

泣きたくても声が出ない。

なきたくてもこえがでない。

仕方がない、

057

仕方がない、

しかたがない、

何でもよいから食物のある所まであるこうと

058

何でもよいから食物のある所まであるこうと

なんでもよいからくいもののあるところまであるこうと

決心をしてそろりそろりと池を左に廻り始めた。

059

決心をしてそろりそろりと池を左に廻り始めた。

けっしんをしてそろりそろりといけをひだりにまわりはじめた。

どうも非常に苦しい。

060

どうも非常に苦しい。

どうもひじょうにくるしい。

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