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用語一覧(15件)
001
ころは二月十八日の酉の刻ばかりのことなるに、
ころはにがつじゅうはちにちのとりのこくばかりのことなるに
002
をりふし北風激しくて、 磯打つ波も高かりけり。
おりふしほくふうはげしくていそうつなみもたかりけり
003
舟は、揺り上げ揺りすゑ漂へば、扇もくしに定まらずひらめいたり。
ふねはゆりあげゆりすえただよえばおうぎもくしにさだまらずひらめいたり
004
沖には平家、舟を一面に並べて見物す。
おきにはへいけふねをいちめんにならべてけんぶつす
005
陸には源氏、くつばみを並べてこれを見る。
くがにはげんじくつばみをならべてこれをみる
006
いづれもいづれも晴れならずといふことぞなき。
いずれもいずれもはれならずということぞなき
007
与一目をふさいで、「南無八幡大菩薩、我が国の神明、
よいちめをふさいでなむはちまんだいぼさつわがくにのしんめい
008
日光の権現、宇都宮、那須の湯泉大明神、
にっこうのごんげんうつのみやなすのゆぜんだいみょうじん
009
願はくは、あの扇の真ん中射させてたばせたまへ。
ねがわくはあのおうぎのまんなかいさせてたばせたまえ
010
これを射損ずるものならば、弓切り折り白害して、
これをいそんずるものならばゆみきりじがいして
011
人に二度面を向かふべからず。
ひとにふたたびおもてをむこうべからず
012
いま一度本国へ迎へんとおぼしめさば、
いまいちどほんこくへむかえんとおぼしめさば
013
この矢はづさせたまふな。」
このやはずさせたもうな
014
と心のうちに祈念して、目を見開いたれば、
とこころのうちにきねんしてめをみひらいたれば
015
風も少し吹き弱り、 扇も射よげにぞなつたりける。
かぜもすこしふきよわりおうぎもいよげにぞなったりける
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